7月です。
月日は百代の過客にして・・・。
気がつくと、今年2014年(平成26年)も半分が過ぎてしまいましたね。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
このブログは毎月1日と20日頃の、月2回の更新をするようにしています。
前回『真田丸』の話を書いた後、スタッフに「歯に関する話は書かれないのですか?」・・・・?!
・・ということで、今回は歯に関する話をほんの少し・・・。
それは、今から・・・1/4世紀ぐらい前のことです・・・。(果たして何年前でしょう?(笑))
歯科大学を卒業して、その大学病院に勤務していたある日の診療のときのこと・・・。
ある暑い夏の日のことでした。
新患の70代前半ぐらいの女性の患者さんを診療することになりました。
「下の前歯がぐらぐらしていて、近くの歯医者さんで抜かなければならない〜と言われました」
と、その患者さんは、とても悲しそうに話されました。
診ると、確かに下の前歯のほとんどが、ぐらぐらとかなりの動揺・・・。
「そうですね・・・。これは・・・。う〜ん・・・骨の状態をレントゲンで確認してみますが・・・」
内心「これは、抜歯になる確率が高いだろうな〜』と思いながら、
その患者さんに、話をし始めたところ・・・。
突然〜〜〜。
「先生!絶対に抜かないでください! お願いします。私の生きがいを奪わないでください!!」
『は?歯を抜かないでほしいということはわかるけれど・・・「生きがい」って?? なんだろう???』
「すみません。今、『生きがい』と言われましたが、それは一体、何でしょうか?」
その患者さんは、静かな、しかし、とても強い意志をもった声で次のように言われました。
「先生。私は、とうもろこしが大好きなのです。一番、好きな食べ物なのです。
毎年、夏になると美味しいとうもろこしを両手で抱えて、
下の前歯でがりがり〜と食べる時が人生の至福の時なのです。
その生きがいを、幸せを、奪わないでください!
下の前歯がなくなるなんて、私には考えられないことなのです・・・!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
歯科医師免許を取得して、まだ4ヶ月ぐらいの時のことです。
その後、どのようなことをその方に話したのか、どのような治療を行ったのか、
その記憶は、すでに忘却の彼方なのですが、
でも、しかし・・・
治療に訪れる患者さんが、ご自身の身体や歯に対して
いかにさまざまな想いをもって来院していらっしゃるのか・・・。
歯を治療することや治療の技術を覚えること〜などということばかりに関心が向いていたその若かりし頃、
『医療従事者は人を診ているのである』ということを、
教科書ではなく、診療室という現場で患者さんから教わったなあ〜と
毎年、夏がきて、とうもろこしを目にするたび、しみじみと思いだします。
今年も、そろそろ夏の気配。
とうもろこしの食べ方は、人によってさまざまでしょうが、
自分の好きな食べ物を何の憂いもなく食べられるという幸せのため、
みなさま、どうぞ、お口の健康・歯の健康には留意されてくださいね。